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環境省:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会(第6回)開催

環境省と経済産業省は『再生エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会』の第6回を2023年11月24日に開催しました。

第6回検討会では、これまでのヒアリングや議論の内容で明らかとなった課題の整理や今後の検討の方向性が提示され、太陽光発電設備の廃棄・リサイクルに関する論点の整理が行われました。

(前回までの検討会に関してはこちらから ⇒ 第1回第2回第3回第4回第5回

検討会開催の背景と目的(再掲)

2050年カーボンニュートラル実現やエネルギー安全保障、資源の輸入依存などを背景に再生可能エネルギーの普及が必要であり、その持続的な導入には地域との共生が不可欠となっています。
しかしながら2012年にFIT制度の開始以降の太陽光発電の急速な普及は、一部の地域社会との軋轢や将来の大量廃棄など多くの課題も顕在化しています。

経済産業省・環境省では、これまで廃棄・リサイクルの課題について検討会関連トピックやワーキンググループ関連トピックが開催してきました。
本検討会ではこれまでの議論の内容を踏まえ、太陽光パネルを始めとした再生可能エネルギ設備の廃棄に対する対策としてリサイクル技術、資源循環、法制度の専門家などによる議論や、業界団体や自治体などからのヒアリングを通じて、具体的なリサイクル促進策をまとめる予定となっています。

廃棄・リサイクルに関する現状と検討の方向性

前回までの検討会において、各種業界団体や事業者、自治体からのヒアリングを基に委員による議論が進められ、今後の検討を進めるにあたっての論点整理が提示されています。

今回第6回では、太陽光発電設備の廃棄・リサイクルにおける現状と課題の整理、および今後の検討の方向性が、発電設備のライフサイクルそれぞれの段階に関して議論されています。

(1)横断的事項

  • 将来の排出量推計の精緻化及びこれに合わせた計画的な対応参考トピック
  • 廃棄費用・情報などを適切に管理する仕組みの構築
  • ライフサイクル全体での情報共有基盤確立、効率的なトレーサビリティを確保
  • 関係者が必要とする情報にアクセスすることのできる環境の整備

(2)製造・輸入・販売

  • 環境配慮設計の普及参考トピック
  • 製造事業者等による再生資源の積極的な活用の促進
  • リユースパネルの適切な利用の促進

(3)運転~事業終了

  • 撤去解体後から搬出されるまでの間の、適切な管理に関する関係法令の検証
  • 事業規模、事業形態(非FIT/FIP)を問わずリサイクル費用が負担される仕組みの検討参考トピック
  • 感電等を防ぎ、安全に解体撤去できる使用済太陽光発電設備の状態の維持

(4)長期活用・リユース

  • 発電事業終了後、使用可能なパネルのリユース品としての活用促進
  • リユース適合性の診断・検査、リユースパネルとして流通する体制の構築

(5)解体・撤去、収集・運搬

  • リユース・リサイクル事業者へ引き渡し可能な状態を保った解体方法の浸透
  • 一定のエリアにおける効率的な収集運搬の仕組み

(6)リサイクル

  • 再資源化が優先される処理方法により、最終処分量を可能な限り削減
  • 現状のリサイクル技術と費用を把握、高度リサイクル処理技術の確立と処理費用低減を両立参考トピック
  • リサイクルや最終処分で必要な情報の整理と、関係事業者間で情報共有される仕組みの構築
  • 地域ごとの太陽光発電設備の導入の実情に即して、事業としてリサイクルがされる環境の構築参考トピック
  • 再生資源の用途開発や品質向上による市場の形成
  • ガラスの再資源化において影響のある成分や物質を除去・高度選別する技術の開発参考トピック

(7)最終処分

  • リサイクルにより最終的な廃棄量を削減
  • 適正な埋立処理のために必要とする情報にアクセスすることのできる環境の整備

廃棄・リサイクルに関する検討の方向性を踏まえた論点の整理

廃棄・リサイクルに関する検討の方向性は「地域と共生した再エネ」、「ライフサイクル全体の各プレイヤーの連携の促進」および「効率的・効果的な取組/社会コストの最小化」を踏まえた論点の整理が必要だと説明されています。

(引用元:環境省

これらを踏まえ、全国規模でライフサイクル全体の各プレイヤーが「再エネ発電設備(モノ)」を適切に処理できるよう、必要な「費用(カネ)」と「情報」が円滑に流通する枠組みを構築することで、適切な廃棄・リサイクルが担保される仕組みの議論が求められるとされています。

委員からの指摘・コメントなど

今後の検討の方向性を見据えた今回の論点整理に対して、委員からは以下の指摘やコメントがされています。

  • 法制化に際しては、時間軸との優先順位付けが必要
  • 他法令との住み分けやスケジュール感、対象とする範囲の整理
  • リサイクルの義務化を方向性とすべき
  • (30年代半ば以降の)ピークアウトへの対応は?
  • リユースパネル市場に関する見通しの整理が必要
  • 非FITの廃棄費用の確保を迅速に進めるべき
  • トレーサビリティはあらゆるサプライチェーンで課題と認識すべき、また蛸壺化しない仕組みつくりが必要
  • 社会的費用の範囲は?・・・狭義のリサイクルなのか、発電事業ライフサイクルでの話か?
  • 長期保管の可能性や、廃棄物・有価物判断のための一時保管拠点の議論が必要では?
  • 『電気的に安全な状態での放置』に関しての思考実験も必要
  • どこまでリサイクルを求めるのか、『リサイクルの範囲』の議論も必要
  • 法制化と合わせて各プレーヤーの誘導が必要、事業性の視点や地域で運用できる人材の育成

※PVリサイクル.com®により要約

まとめ

今回の検討会では、これまでの検討会で議論された太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルに関して、今後の検討の方向性と論点整理が行われました。

現在、将来の廃棄需要を見越した企業の事業化や新規参入、地域課題としての自治体独自の取組みなどが、全国の多くの地域で先行して進んでいます。
しかしながら、今回の論点整理ではこれらへの言及はあまり見られませんでした。

今後の法制化に合わせて、既に全国で進む太陽光パネルリサイクルの取組みとの整合性や更なる推進させるための議論が深まるかにも注目が必要です。

参考資料