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環境省:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会、中間取りまとめ公表

環境省と経済産業省は『再生エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会』の中間取りまとめを2024年1月30日に公表しました。

中間取りまとめでは、本検討会で議論を行ってきた事項について論点ごとの方向性を取りまとめられており、各論点については具体化に向けて引き続き検討を深めていくとあります 。

(前回までの検討会に関してはこちらから ⇒ 第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回

検討会開催の背景と目的(再掲)

2050年カーボンニュートラル実現やエネルギー安全保障、資源の輸入依存などを背景に再生可能エネルギーの普及が必要であり、その持続的な導入には地域との共生が不可欠となっています。
しかしながら2012年にFIT制度の開始以降の太陽光発電の急速な普及は、一部の地域社会との軋轢や将来の大量廃棄など多くの課題も顕在化しています。
経済産業省・環境省では、これまで廃棄・リサイクルの課題について検討会関連トピックやワーキンググループ関連トピックが開催してきました。

本検討会では、再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルの対応強化に向けた具体的な方策について議論を重ね、「中間取りまとめ」として議論された論点ごとの方向性を取りまとめられています。
今後、中間取りまとめで示された方向性の具体化に向けて、法改正などにより対策を進めていくとともに、引き続き議論を深めていくとされています。

「中間取りまとめ」の内容

本中間取りまとめでは、太陽光発電設備の廃棄・リサイクルを中心に取り扱われており、廃棄・リサイクルに関する『①現状と検討の方向性、②仕組みの基本的方向性、③廃棄・リサイクルの論点整理』として纏められており、具体的な対応の『今後の進め方』が示されています。

Ⅱ 太陽光発電設備の廃棄・リサイクルに関する現状と検討の方向性
1.横断的事項
2.製造・輸入・販売
3.運転~事業終了
4.長期活用・リユース
5.解体撤去、収集・運搬
6.リサイクル
7.最終処分

Ⅲ.再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに関する仕組みの基本的方向性

Ⅳ.廃棄リサイクルに関する論点の整理
1.太陽光発電設備
(1)【情報】設備や発電事業に係る情報管理
(2)【モノ】適正にリユース・リサイクルされるための仕組み等の構築
(3)【費用】リサイクル、適正処理のための費用の確保等
2.その他再生可能エネルギー発電設備

Ⅴ.今後の進め方

引用元:環境省

なお、これまでの議論の経緯やポイントに関しては、前回までの検討会の要約を参照ください。
 ⇒ 第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回

廃棄リサイクルに関する論点の整理と今後の進め方

中間取りまとめの「Ⅴ項」では、「速やかに対応する事項」と検討の方向性を踏また「継続して検討を深める事項」が示されています。

≪速やかに対応する事項≫

  • 太陽光パネルの含有物質情報の登録、新規FIT認定時に登録されたパネルの使用を求める
     ⇒ 省令改正により2024年春を目途に施行、速やかな含有物質情報データベースの作成・周知
  • リユース・リサイクルのガイドラインの関係者へ更なる周知によるリユース・リサイクルの促進
  • 発電終了後の太陽光発電設備の安全を保持するための取組み

≪新たな仕組みの構築や制度的な対応に向けて、引き続き検討を深める事項≫

  • ライフサイクルでのトレーサビリティを確保し、廃棄物の移動履歴や含有物質情報などを把握する仕組み
  • 発電事業終了後、各関係事業者間で使用済太陽光パネルの引渡しが確実に実施されるための仕組み
  • 適正なリユースの促進のための方策
  • 全体としてリサイクル、適正処理等の費用が確保される仕組み
  • 万が一、事業終了後に太陽光発電設備が放置された場合の対応の整理

法改正を伴う大きなアクションとして「太陽光パネルの含有物質情報の登録」が今春にも施行されるとなっており、新規FITで導入を計画している発電事業者や施工業者は対応が求められます。
またリユース・リサイクルに関しても周知を促進することとなっており、今後事業者が実際に太陽光パネルを処分の際には留意する必要があります。

新たな制度設計に関しては検討事項として更なる議論を深めることとなっており、今後の進捗に注目する必要があります。

まとめ

今回の「中間取りまとめ」では、再エネ発電設備(太陽光パネル)の適正な廃棄・リサイクルに向けて検討の方向性が整理され、太陽光パネルの含有物質のデータベース化およびFIT認定での適用など、一部では法改正を含む実効性のある取り組みが提示されました。

一方で適正廃棄・リサイクルに向けた仕組みつくりは今後も議論の進展を待つことになり、また現在全国で多くの事業者が多くの取組みを進めている実態把握も重要だと考えられます。。

継続的な議論や法改正など、今後の廃棄・リサイクルの方向性を注目する必要があります。

参考資料