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経産省:第3回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会

経済産業省は、2022年5月12日に 「第3回 再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」を開催しました。

再生可能エネルギーの普及が進む中で地域や環境との軋轢が一部生じており、今後の適正な導入に向けての論点整理と課題の提示、および関係者へのヒアリングがこれまでの検討会で行われました関連トピック①関連トピック②
今回の検討会では、前回に引き続き有識者等へのヒアリングが行われ、特に使用済太陽光パネルのリサイクルに取組む事業者などによる説明も実施され、廃棄に係る現状や課題などが議論されました。

検討会開催の背景

政府では、2050年のカーボンニュートラル及び2030年度に再生可能エネルギーの割合を36~38%にするという、野心的な目標を掲げています。一方で再エネの拡大に伴い、一部の地域では災害や環境への影響、再エネ設備の廃棄などへの懸念も指摘されています。

この様な背景において、関係4省庁(経済産業省・農林水産省・国土交通省・環境省)が共同で、再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理に向けた施策の方向性などの議論のため、検討会を開催される運びとなりました。

太陽光パネルの廃棄・リサイクル等について説明

今回の検討会では、実際に使用済太陽光パネルの廃棄・リサイクルについて、実際に関わりのある団体・事業者などからのヒアリングおよび質疑応答が行われました。

  • 一般社団法人 太陽光発電協会
  • 公益社団法人 全国産業資源循環連合会
  • 株式会社 新菱

太陽光発電協会(JPEA)による説明

  • 太陽光のライフサイクル(企画設計から施工・運用、撤去・廃棄)での取組みを説明
     ⇒ 各種ガイドラインや中間処理事業者一覧の公開
  • 適正処理・リサイクルに向けた取組みとして、リサイクル研究会の設置、国との連携、調査研究を実施
  • 省庁の枠を超えて、関係するステークホルダーによる意見交換会を提言
  • 重量の65%を占めるガラスのリサイクルが課題(資料のみ)
JPEAのライフサイクルでの取組み(引用元:経産省

全国産業資源循環連合会による説明

  • 太陽光発電設備の廃棄に関する法令等の説明
  • 受入れ状況、契約手順・処理方法の説明(大栄環境)
     ⇒ 現在は数10枚の受入れをスポットで対応
  • 適正処理のための排出事業者への依頼事項
  • ガラスのリサイクル、再生資源としての需要開拓などが課題と認識

株式会社新菱による説明

  • リサイクル処理方法の説明関連トピック③
  • 受注実績と受入れ委に至る背景等の説明
     ⇒ 2021年は13,000枚を受入れ、問合せの殆どがホームページ経由であり周知が必要
  • 今後の全国展開や受注目標、処理費の低減への課題など説明
太陽光パネル高度リサイクルプラント(引用元:経産省

委員による質疑応答

委員からプレゼンターに対して行われた質問や指摘などの一部を紹介します。

  • 廃棄パネルのリサイクル処理における業界標準化や処理技術の特許プールなどの検討できないか?
     ⇒ ライセンス供与による事業展開を検討、国の支援も期待したい
  • 太陽光パネルの環境配慮設計やEPR(拡大生産者責任)などの検討も必要では? 
  • WDS(廃棄物データシート)運用の法制化を検討すべきか?
     ⇒ 最終処分の維持管理を行う上でWDSは必須、法令化は望ましい
     ⇒ 含有物質の情報は適正処理やコストに影響するため提供してほしい
     ⇒ 有害物質だけでなく、銀などの有価物の含有量も公開して欲しい
  • 発電事業者の事業停止・施設放棄を考慮した地域負担解除の対策は?
     ⇒ 団体保険の活用や、外部積立費用の活用も検討すべきと考える
  • 架台、基礎、パワコンなど、モジュール以外の将来廃棄量や課題はどう考えているか?
  • WDS作成にあたってのパネルメーカーの対応は十分か?
     ⇒ 国内メーカーは入手可、輸入品は商社経由でしっかりした情報提供が必要
  • 中長期のガラスリサイクル製品・市場の見通しは?
     ⇒ グラスウールでの利用だけでは将来受け入れは困難になるため、板ガラスメーカーとの協議が今後必要
  • カバーガラスに含まれるアンチモンの除去方法の有無、またガラスの出口をどうすべきか?
     ⇒ グラスウール原料として研究開発の結果、アンチモン含有も問題ない
  • 住宅向けなどの小規模太陽光の回収方法などは?
     ⇒ 福岡県では『スマート回収支援システム関連トピック④』を進めており、全国への展開を検討中
  • 廃棄・リサイクルに関するマテリアルフローは? また把握する方法はあるのか?
     ⇒ FIT法での廃止届で数量把握、今後情報利用の検討が必要
  • 処理施設の立地と採算性はどう考えるべきか?
     ⇒ 収集運搬費の負担が大きいため一定距離内での処理施設立地が望ましいが、今後の検討課題

まとめ

今回の検討会では実際に使用済太陽光パネルの処理に関わる事業者のヒアリングが行われ、廃棄やリサイクルでの取り組みや課題が取り上げられています。
議論の中では、現時点での処理量の少なさやリサイクル後のガラスの利用方法などが取り上げられましたが、事業者側の目線での議論が中心となっています。一方で環境省による調査結果などの最新のデータが取り上げれておらず、議論の上でのデータ・資料不足も若干感じられます。

廃棄費用積立制度が開始されることもあり、排出者側(発電事業者や工事業者)の取組みや意識についての現状認識や課題把握も、今後のリサイクル・適正処理を進める上で検討会での議論が必要だと考えれます。

参考資料