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環境省:令和4年度デジタル技術の活用等による脱炭素型資源循環システム創生実証事業報告書

環境省では、使用済太陽光パネルの効率的な回収、適切なリユース・リサイクルやトレーサビリティ等の情報プラットフォーム(以下、情報PF)の実証を⽬的とした実証事業を令和3年度から3年間の予定で実施しており、令和4年度の報告書が公開されています。

令和4年度の実証事業で検証した内容について、概要を紹介します前年度報告書の関連トピック

実証事業の概要

本実証事業は、使用済PVモジュールの効率的な回収やリユース・リサイクルの促進を目的とし、トレーサビリティを確保した一体的な管理情報プラットフォーム実証として、以下の点を含んだ実証が行われています。

  • 法規制(環境省ガイドライン等)に則した使⽤済PVモジュール管理・オペレーションのデジタル情報PF化
  • デジタル情報PF利⽤による使⽤済PVモジュールデータの⼀元化・可視化
  • ブロックチェーン技術の利⽤によるデータ・書類の⾮改ざん性・トレーサビリティ担保

実証期間は3年間を予定されており、初年度の令和3年度は情報PF検討のための事前調査、要件定義の作成、情報PFの準備とその実証実験が⾏われています。

実証事業の成果や課題(報告書の概要)

前年度実証での課題、令和4年度の実施内容

令和3年度事業では、情報PFにおいて、技術面および運用面のそれぞれ課題が挙げられています。
情報入力などの情報PFのUX・UIに関わる事項や、検査やロジスティックなどの実際のオペレーションの効率化などが、技術面の課題として挙げられています。
また運用面の課題として、リユースそのものの活性化や事業性の確立、情報PFでのリユースとリサイクルとの統合、情報PFそのものの啓蒙活動などが挙げられています。

これらを踏まえ令和4年度実証では、以下の内容が計画され実証事業が行われました。

  • 実オペレーションによる情報PFの有効性評価ならびにマーケット概観
  • 使用済PVモジュールのリサイクル向け情報PF構築の基礎調査
  • 使用済PVモジュールのリサイクル向け情報PFの試作、実用化に向けた課題の整理
  • 環境影響改善効果およびCO2削減効果の評価
  • 資源循環情報PFビジネス活性化、出口戦略の検討
(引用元:環境省

令和4年度の成果

実オペレーションによる情報PFの有効性評価ならびにマーケット概観

  • 使用済PVモジュールの情報PFに関するヒアリング調査の結果、情報PFは十分な情報と機能を提供しており、有効性や使用者のメリットが確認されました。
  • しかし国内でのリユースは限定的であり、多くが海外輸出されている可能性がある中で、情報PFによるリサイクル促進が期待できます。
  • 情報PFを通じたリサイクルの拡大には、情報PFの認知拡大や利用時の操作負担軽減が必要であり情報PF運営の効率化も検討が必要と考えられます。

使用済PVモジュールのリサイクル向け情報PF構築の基礎調査

  • 適正処理が可能なリサイクル業者では素材ごとの分離選別が行われているものの、リサイクル業者の選定が難しくより安い処理(埋立処分)が選択されるケースも多いと考えられます。
  • 排出者に対してリサイクルによる環境影響改善効果や処理コストの優位性を訴求することで、リサイクルのインセンティブ醸成が必要であり、情報PFを通じた使用済PVモジュールの囲い込みがリサイクル率向上につながると期待されます。

使用済PVモジュールのリサイクル向け情報PFの試作、実用化に向けた課題の整理

  • 使用済PVモジュールの実際の取引きベースでの要件定義や検証が行われました。
  • 情報PFを活用することでリユース・リサイクルの業務フロー改善、適正事業者の紹介、リユースパネルの品質の担保が可能になり、環境貢献度などの見える化が期待できます。
(引用元:環境省

環境影響改善効果およびCO2削減効果の評価

  • 2022年3月時点での太陽光発電設備導入量66GWの5%相当を1年間でリサイクルしたと仮定すると、情報PFを通じたガラス・銅・銀のリサイクルによるCO2排出量削減効果は、年間8.6万トン-CO2と推計されています。
  • 前年度の推計したリユースによる年間削減効果19.3万トン-CO2と組み合わせることで、情報PFを通じたリユース・リサイクルの促進による総合的なCO2排出量削減効果は、年間16.6万トン-CO2と推計されています。
(引用元:環境省

資源循環情報PFビジネス活性化に向けた出口戦略の検討

情報PFのオペレーション上の課題として、マニュアル化やコスト削減・効率化、事業者のネットワーク拡大などが挙げられています。
事業化に向けても、取扱い数増加や情報PFを通じた付加価値提供、リユース保険付保の有効性検証が必要だと纏められています。

(引用元:環境省

令和5年度実証では、これらの課題を踏まえて、実取引ベースでのオペレーションによる改善や機能拡充などが計画されています。
商用化に向けては、リユース保険付保の有効性検証や認知拡大に向けたマーケティング活動が実施されるとのことです。

(引用元:環境省

まとめ

使用済太陽光パネルの廃棄・リサイクルに関しては、リサイクル技術開発や設備導入補助、法規制などの議論される一方で、市場原理による取組みには関心が低いという現状があります。
今回の情報PF構築の実証事業は、使用済太陽光パネルのリユース・リサイクルのマーケットに着目したものであり、市場原理を通じた資源循環や外部経済の改善を志向するものです。

報告書内にも記載がありますが、多くの事業者が参加することが有効性の評価に必要であり、プラットフォームの公正性や廃掃法などの法規制との整合性、多くの事業者が参加するインセンティブ等、本年度の成果に注目する必要があります。

(※一部の要約にChatGPTを使用していますが、内容を確認し掲載しています)

参考資料