太陽光パネルリサイクルの情報を掲載しております。

リサイクル技術の分類②


(2021-06-28)

太陽光パネルのリサイクルに関する各種技術の概要を整理し、それぞれの特徴を概説していきます。
前回のトピックに引き続き、NEDO技術開発プロジェクト太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドラインで説明されている太陽光パネルのリサイクル技術のうち、機械的剥離法に関して各種技術の概要を紹介していきます。

ロール式破砕法(圧砕)

ロール式破砕法は、表面に凹凸形状を持つ円筒(ロール)2本を対にし、太陽光パネルがロールの間を通過することで、パネル表面のガラスを破砕します。破砕されたガラスは必要に応じ、ふるい機や風力選別機により混入したセルやバックシートの破片等を選別されます。

本方式による破砕方法はNEDOにより技術開発が進められました。
結晶シリコン太陽電池の低コスト分解処理技術の調査/開発(2014年度)

図1_ロール式破砕機
図1:ロール式破砕機(引用元:NEDO)
図2_ロール式破砕機処理後の太陽電池
図2:破砕処理後の太陽電池(引用元:NEDO)

破損したパネルなどにも対応できるものの、ロールにより圧力をかけてガラスを破砕するため、剥離したガラス粒子は鋭利状になりやすい傾向があります。

一部メーカーでは既に製品化されており、独自技術で開発を進めているメーカーもあります。

図3_板ガラスのリサイクル方法およびリサイクルシステム
図3:板ガラスのリサイクル方法およびリサイクルシステム(引用元:公開特許公報)

ホットナイフ分離法

本方式では、加熱したナイフでEVA樹脂層を溶融しながらセル・バックシートをカバーガラス表面から剥離します。ガラスを破壊することなく分離することができ、高い純度でガラスを回収(樹脂を除去)できます。
NEDOによる技術開発が行われ、その成果としてメーカーより製品化されています。
可溶化法を用いた使用済み太陽電池からの資源回収技術の開発(2014年度)
ホットナイフ分離法によるガラスと金属の完全リサイクル技術開発(2015~2018年度)
報告書では、ホットナイフの耐久性や割れた状態で持ち込まれる太陽光パネルについての課題があるとも記載されています。

図4_ホットナイフ分離装置
図4:ホットナイフ分離装置(引用元:NEDO)
図5_太陽電池モジュールのリサイクル装置
図5:太陽電池モジュールのリサイクル装置(引用元:公開特許公報)

本方式に類似した技術は海外でも開発されているようであり、開発状況を注目する必要があります。

図6_Apparatus for recycling Solar panel and method thereof
図6:Apparatus for recycling Solar panel and method thereof(引用元:Espacenet)

パネルセパレータ

合わせガラス型太陽電池であるCIS系太陽光パネルを対象としたリサイクル技術であり、NEDOによる技術開発が行われています。
合わせガラス型太陽電池の低コスト分解処理技術実証(2015~2018年度)
合わせガラス型太陽電池のマテリアルリサイクル要素技術開発(2019年度)

CIS系太陽光パネルの構造的な特徴として、カバーガラスと基板ガラスの2枚のガラスに挟まれた構造をしており、基板ガラス表面にCIS太陽電池層および電極が形成され、EVAにより封止された構造となっています。

図7_太陽光パネルの断面構造の違い
図7:太陽光パネルの断面構造の違い(引用元:NEDO)
図8_パネルセパレータ
図8:パネルセパレータ(引用元:NEDO)

前述のホットナイフ式に似ていますが、加熱によるEVAの密着力を低減させパネルセパレータにより基板ガラスが引き剥がされる方式となります。
CIS系太陽光パネルのリサイクルでは、一般に普及している結晶系シリコン系太陽光パネルと異なる構造に対応するため本方式が開発されており、基板ガラス剥離後にはCISを回収する化学的プロセスが設けられています。

ブラスト工法

ブラスト工法は、粒状の投射材料を圧縮エアーやモーター駆動によってガラス表面に吹き付けて、ガラスを剥離する方法です。
剥離したガラスは選別・回収されるとともに、一部は装置内を循環し再び投射材料として利用されます。

本方式は環境省の下記ガイドラインで、参考技術として紹介されています。
太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)

図9_ブラスト工法
図9:ブラスト工法(引用元:環境省)
図10_ブラスト工法による処理フロー
図10:ブラスト工法による処理フロー(引用元:環境省)

本方式では、両面受光型や住宅向けの矩形以外の太陽光パネル、ガラスが破損した太陽光パネルなど、幅広いパネルに対応ができます。

ブラシ剥離法

ブラシ剥離方は、太陽光パネルのカバーガラスからバックシートやセル(発電素子)を特殊なブラシで剥離します。

本方式についても環境省の下記ガイドラインで、参考技術として紹介されています。
太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)

図11_ブラシ剥離法
図11:ブラシ剥離法(引用元:環境省)
図12_太陽電池パネルのリサイクル方法
図12:太陽電池パネルのリサイクル方法(引用元:公開特許公報)

まとめ

物理的剥離方法による太陽光パネルのリサイクル技術を中心に紹介しました。過去に国の研究機関による技術開発が進められ、その成果としていくつかの方式は太陽光パネルリサイクル装置として製品化されています。
次回は独自に開発されたリサイクル技術を中心に紹介していきます。

参考資料

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