太陽光パネルリサイクルの情報を掲載しております。

リサイクル技術の分類①


(2021-06-09)

太陽光パネルのリサイクル技術に関しては、NEDOの技術開発プロジェクト(過去トピック)を通じて実用化された技術や、メーカー各社が独自に開発した技術など、既に多くの種類が開発されています。
今回は各種技術の概要を整理し、それぞれの特徴を3回に分けて解説していきます。

ガラスの剥離方法による分類

太陽光パネルの構造は大まかに発電層とガラスが樹脂で封着された構造(過去トピック)であり、ガラス分離方法(剥離方法)で技術の分類ができます。

  • 化学的処理法(Chemical treatment)
  • 熱処理法(Thermal separation)
  • 機械的剥離法(Mechanical separation)

化学的処理法とは、封着に用いられている樹脂(EVAなど)を剥離剤や強酸などの溶液中に浸漬させ、樹脂を化学的に除去する方法です。樹脂などの有機物を選択的に除去できるものの、処理に使用する薬品を安全に取り扱うなどの難しさがあります。

熱処理法では、熱分解炉等で太陽光パネルを加熱することで、樹脂をガス化・燃焼させるなどし、ガラスを剥離する方法です。ガス化した樹脂によるサーマルリサイクルが一部可能なシステムがあるものの、パネル全体を加熱にエネルギーを要するというデメリットもあります。

機械的なガラス剥離法は、物理的な外力(切削、衝撃、せん断、圧力など)を加えることでガラスまたはバックシート・セルを除去・分離する方法です。外力の加え方により多くの方法があり、現時点で製品化されているものの殆どは機械的剥離方法によるものとなります。
なお本方式では、剥離を促進させるために、EVAの加熱軟化を併用する場合もあります。

※分類や用語に関しては定義がある訳ではなく、一般的な用語にて便宜的に記載しています。

熱処理法

熱処理法では、燃焼ガスや電気加熱等により、EVAやバックシートなどの樹脂を高温で熱分解させます。気化したガスは回収することで再度熱源として利用する方法もありますが、いずれにしてもパネルを加熱するための熱源に少なくないエネルギーが要することになります。

NEDOや環境省による下記の技術開発が進められており、一部に関しては今後も技術開発が継続されています。

図1:PVシステム低コスト汎用リサイクル処理手法に関する研究開発(引用元:NEDO)
図2:太陽電池モジュールの触媒使用によるリサイクル技術開発(引用元:NEDO)

またNEDO等の技術開発とは独立して個別に開発されている技術として、燃焼ガスの代わりに過熱蒸気を用いる熱処理法の技術も現在開発されています。

図3:過熱蒸気によるソーラーパネル熱分解リサイクル装置(引用元:公開特許公報)

化学的処理法

化学的処理法は、封着材(EVAなど)やバックシートが樹脂であることから、工業用途で一般に使用されている剥離剤や強酸などの溶液中に浸漬させ、樹脂を化学的に除去する方法になります。

本方式は古くから研究開発が進められ論文等も多く公表されており、NEDOでも技術開発が行われています。

図4:ウェット法による結晶系太陽電池モジュールの高度リサイクル技術実証(引用元:NEDO)

本技術開発の結果では、剥離溶液浸漬だけではEVAを完全に分離できないため、EVA剥離にブラシが併用されています。

樹脂などの有機物を選択的に除去できることから、ガラスを破砕することなく分離することができる一方で、処理にともなう溶剤の希釈や薬品を扱う難しさなどが特徴として挙げられます。

湿式比重選別法

湿式比重選別法は、太陽光パネルをシュレッダー等で破砕し、ふるい機等で処理後に、比重差を利用して選別が行われます。

本方式に関しては、早い段階で環境省により下記の実証事業が実施されています。

図5:湿式比重選別機(引用元:環境省)

湿式比重選別法では、従来の装置を使用するため既存の設備や技術が利用でき、大量の処理にも対応できると考えられます。一方で太陽光パネルのリサイクル専用機としては導入規模が大きくなり、現在導入を進めている企業は多くないようです。

まとめ

太陽光パネルのリサイクル技術は、その原理により「化学的」「熱的」「物理的」剥離方法に分類されます。今回は化学的・熱的処理方法の概要を紹介しました。次回以降、現在リサイクル方法の主流である「物理的」剥離方法に関して解説していきます。

参考資料

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