太陽光パネルリサイクルの情報を掲載しております。

パネルに含まれる成分(資源性と環境影響)


(2021-04-25)

太陽光パネルのリサイクルにおいて、パネルがどのような成分で構成されているかを知ることはリサイクルを進めるにおいて、重要となります。
以下では現在広く普及している、結晶系シリコン型の太陽光パネルを中心に、パネルを構成する成分やその環境への影響などを概説します。

結晶系シリコン型の太陽光パネルの構造

太陽光パネルの構造に関しては、以前にも取り上げましたが改めて概説します。

結晶系シリコン型の太陽光パネル(太陽電池モジュールとも呼ばれる)は、太陽光を受けて発電をするシリコン製の太陽電池セルが基本単位となり、この矩形型の太陽電池セルは直行に並べられます。
並べられた太陽電池セルは、太陽光の受光面をカバーガラスで、背面側を樹脂製バックシートで挟み込み、それぞれの間を封止材EVA(エチレン酢酸ビニル、熱可塑性)で強固に封着します。
貼合わされたパネル(ガラス)を保護し設置架台に取付けが容易にできるよう、ガラスの周囲をアルミ製フレームで覆い保護されます。
パネルの背面側(バックシート表面)にジャンクションボックスが接続されており、発電した電気が取り出されます。

シリコン系太陽光パネルの構造
図1:太陽電池モジュールの構造(引用元:自然電力

シリコンでできた発電セルの大きさは、シリコンのインゴットから加工できるウエハーのサイズに制限されます。そのために各社の太陽光パネルは、概ね同じ大きさとなります。近年ではウエハーサイズの大型化が進んでおり、太陽光パネル1枚当たりの出力が500W(数年前は300W以下だった)を超えるものが製品化されています。
また結晶系シリコン型の太陽光パネルで60セルや72セルと呼ばれるのは、太陽電池セルをいくつ並べているかを示しており、それにより概ねパネルサイズの判別ができます。

環境省による太陽光パネルの含有試験

少し古くなりますが、平成27年に環境省が使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル・適正処分に関する検討会にて『太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分の推進に向けた検討結果』を公表しています。
本報告書の中で、太陽電池モジュールの各部位の含有量試験および溶出試験の結果があります。

太陽電池モジュールの含有試験結果
図2:太陽電池モジュールの含有量試験結果(引用元:環境省)

・有用物質としては、電極材料に銀が数万ppm オーダーで含有されている。結晶系のモジュールで総じて濃度が高く、薄膜系、化合物系のモジュールでは相対的に濃度が低い傾向にある。また、製造年次の古い製品は銀の濃度が総じて高く、製造年次の新しい製品は濃度のばらつきが大きい傾向が確認される。

・有害性の観点からは、結晶系のモジュールを中心として電極等にははんだが使用されており、鉛が含有される。また、化合物系のモジュールにおいては、セレンやカドミウムが含有されるものが存在する。

・結晶系モジュールにおける鉛の溶出については電極の寄与分が非常に大きいことが確認された。化合物系モジュールの場合は、CIS/CIGS 化合物を含むモジュール部分からのセレンの溶出が確認された。

引用元:環境省
太陽電池モジュールの溶出試験結果
図3: 太陽電池モジュールに関する溶出試験結果(引用元:環境省)

・結晶系モジュールの一部で鉛が特別管理産業廃棄物の判定基準を超過しているものが確認された。製品に使用されている金属電極に由来するものと推測されるのでその取扱いについては注意が必要である。

一部モジュールからは、産業廃棄物の溶出基準値のある物質として鉛、セレン、カドミウムの溶出が、また、溶出基準値のない物質ではアンチモン、テルルの溶出が確認されている。

引用元:環境省

太陽光パネルに含まれる有害物質とは

前述の試験結果では、太陽電池モジュールに含まれる有害物質として『鉛、セレン、カドミウム』が検出されており、一部では溶出量が多いという結果もあります。

セレン

セレンはCIS/CIGS太陽電池(銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)、ガリウム(Ga)を原料とする化合物半導体系太陽電池)の原料になります。国内でのシェアは相対的に小さく、また国内ではソーラーフロンティア社が代表的なメーカーと限られるため、廃棄時にはメーカーに問合せする等の対応が求められます。

カドミウム

カドミウムはCdTe太陽電池(カドミウム(Cd)とテルル(Te)を原料とする化合物半導体系太陽電池)の原料として含まれます。米国のファースト・ソーラー社が生産しており、国内で製造しているメーカーはありません。
カドミウムが及ぼす環境への懸念に対応するため、ファースト・ソーラー社では同社の販売したCdTe太陽電池を使用後に無償で引き取り、製品に含まれるカドミウムをリサイクルする制度を導入しています。

結晶系シリコン型のモジュールでは、電極等にハンダが使用されており、一部では鉛が含有されています。製造年が新しいモジュールほど鉛の含有量が少ない傾向もあり、無鉛ハンダの使用など含有量を減らす技術(*1)(*2)が採用されていると考えられます。

アンチモン

太陽電池モジュールのカバーガラスは光の透過度を向上させるために、鉄分量(Fe)の少ないガラス(*3)が使用されており、且つ清澄剤(ガラス製造時に消泡目的)としてアンチモンが多く使用されています。
アンチモンの溶出基準値は規定されていないものの、リサイクルガラスの利用に際しては環境や健康への影響評価が望まれます。

有価性の高い含有物として、太陽電池モジュールには微量の銀が含まれます。銀はセル表面のフィンガー電極を形成するための銀ペースト(*4)として使用されています。
この銀はセル・電極等を精錬により回収することができ、各リサイクル事業者がリサイクルを進めています。一方でモジュール製造コストに占める銀コストの比率が小さくなく、銀の使用量は減少する傾向にあります。

ヒ素

ヒ素が用いられるGaAs太陽電池(ガリウム(Ga)と砒素(As)を原料とする化合物半導体系太陽電池)は、変換効率が高い一方で価格が非常に高く、宇宙用の太陽電池(*5)などのコスト度外視でも軽量・高効率・高耐久性が求められる用途でしか実用化されていません。
車載太陽電池としての研究開発(*6)は進むものの、メガソーラーなどの大規模発電所などでは採算が合わないことがあり、一般に市場に出回ってはいないのが実情です。

*1)三菱電機株式会社:単結晶無鉛はんだ太陽電池モジュール新商品発売
*2)日立化成工業株式会社:太陽電池用導電フィルム「CFシリーズ」を開発
*3)NSG/Pilkington:太陽光発電用ガラス
*4)Si 結晶太陽電池における高精細スクリーン印刷の最新動向(京都エレックス, 中山真志)

*5)JAXA:宇宙用の太陽電池は地上用のものとどこが違うのですか?
*6)日経BP:世界を変えるガリウムヒ素系太陽電池、見えてきたコスト1/200の道筋

使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供

太陽光発電協会(JPEA)が公表している『使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン』によれば、使用済み太陽電池モジュールの廃棄時に産業廃棄物処理業者や自治体等の適正処理に資する目的で、モジュールメーカー等に対して環境負荷が懸念される化学物質の含有について情報提供を求めています。

廃棄時に環境に影響を及ぼす可能性のある化学物質の視点と太陽光発電モジュールの種類に応じた含有の可能性の高さを考慮し、『鉛、カドミウム、ヒ素、セレン』の4物質を指定しています。
それぞれ含有基準値を『0.1wt%』とし、これを超える場合に個社ウェブサイト、その他の方法で情報開示することを推奨しています。

1)対象物質
廃棄時に環境に影響を及ぼす可能性のある化学物質の視点と太陽光発電モジュールの種類に応じた含有の可能性の高さを考慮し、以下の4物質とする。
 鉛、カドミウム、ヒ素、セレン
2)含有率基準値
表示を行う際の含有率基準値は以下の通りとし、これを超える場合に4項に定める方法で表示する。
 鉛: 0.1wt%
 カドミウム: 0.1wt%
 ヒ素: 0.1wt%
 セレン: 0.1wt%

引用元:太陽光発電協会

ガイドラインに基づき上記4物質の含有量に関しての情報公開をしているモジュールメーカーは、JPEAのウェブサイトから確認することができます。

まとめ

太陽光パネルに含まれる成分はパネルの種類によって異なり、一部の使用済太陽光パネルには環境や健康への影響のある成分も含まれています。
これらは適正なリサイクルを行うことで安全に処理することができ、且つ有効に資源を回収することもできます。
排出事業者はパネルの廃棄処分時に、パネルメーカーが公表している適正処理に資する情報を入手するとともに、適切にリサイクルできる中間処理業者の選定が求められます。

参考資料

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