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太陽光パネル廃棄量の将来予測

(2021-01-20)

太陽光パネルの大量廃棄とは?

太陽光発電設備の大量廃棄問題は、2009年に太陽光発電の余剰電力買取制度として導入されたものが、2012年に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下FIT制度)」として全量買取制に制度を変更されたことにより、全国でメガソーラーが急激に普及したことに端を発します。
太陽光発電は他の再生可能エネルギー(風力発電やバイオマス発電、地熱発電など)に比べて高いノウハウや技術が不要であり、資本負担が少なくキャッシュフロー回収が早期に見込めることなど、業種・業界を問わず多くの事業者が参入しやすく全国津々浦々で爆発的に普及が進みました。

当初は再生可能エネルギー普及に制度の軸足が置かれたこともあり、一般には廃棄時の問題に関しての関心は少なかったと考えられます。一方で、2015年には将来の大量廃棄に関しても問題提起はされていました。事実、同年6月には環境省により『太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分の推進に向けた検討』がなされており、2030年代以降に太陽光パネルの大量廃棄が指摘されていました。

環境省による太陽電池モジュール排出見込量
図1:太陽電池モジュール排出見込量(出所:環境省)


設置された太陽光パネルがFIT経過後(寿命20年、25年、30年)に一律排出されるという単純な試算ですが、『年間80万トン』もの廃棄パネルの排出見込量が見込まれていました。

太陽光発電設備の導入容量

太陽光発電設備(太陽光パネル)の過去の導入容量(発電容量)推移は、下記のデータから類推されます。

FIT認定を受けている認定容量と実際に売電をしている導入容量は『資源エネルギー庁:設備導入状況の公表』から確認できます。2020年6月末時点で70GW超がFIT認定されており、そのうち50GW超が既に運転されています。

FIT認定導入容量推移
図2:FIT認定容量・導入容量の推移(出所:資源エネ庁の資料を元にPVリサイクル.com作成)

ピーク時には年換算で10GW/年を超える導入ペースだったものの、直近では5~6GW/年の導入容量となっています。

他方で太陽光発電協会(JPEA)によるモジュール出荷量統計に依れば、2020年9月末時点で累計約57GW分の太陽光パネルが市場に出回っていることになります。これはFIT認定に含まれない自家消費発電や、過積載と呼ばれる定格発電容量以上の太陽光パネルを設置しているためと考えられています

モジュール国内出荷量
図3:モジュール国内出荷量の推移(出所:JPEAの資料を元にPVリサイクル.com作成)

また経産省の生産動態統計からもモジュール販売量の推移が確認できます。しかしこちらの統計は統計母数の違いから、JPEAによるデータより少ない数値となっています。

モジュール販売容量
図4:(参考)モジュール販売容量の推移(出所:経産省の資料を元にPVリサイクル.com作成)

太陽光パネルの廃棄量予測

前項までで考察した太陽光パネルの導入容量分の太陽光パネルは、いずれ役割を終えて廃棄物として排出されます。しかしFIT期間の20年が終了時点で一様に廃棄されるわけではなく、実際の排出量は様々な要因が影響すると考えられます。

  • FIT期間終了後の土地賃貸契約継続の有無
  • 20年経過後の太陽光パネルの発電効率
  • 自家消費や小売り電気事業者による発電した電気買取りの有無

またパネルの初期不良、運転中のパネル破損・性能劣化による交換、自然災害等による発電所被災など、運転中の発電設備からも一定量のパネル廃棄は現在も対応が必要な問題として顕在化しています。

太陽光パネルのシナリオ別排出量推計
図5:太陽光パネルのシナリオ別排出量推計(出所:NEDO)

NEDOによる「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」でこれら条件を加味した複数のケースの検討がされています。2035年ごろのピークで30~50万トン/年の使用済太陽光パネルが排出されると予測されています。
技術開発や政策、また社会のあり方など、不確実性が高く上記の予測もどのようなシナリオに落ち着くかは今後注視する必要があります。一方で年間数10万トンにおよぶ廃棄物が発生することは疑いのない事実であり、使用済太陽光パネルの大量廃棄に備える必要があります。

まとめ

2020年12月に政府は『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』を策定しました。2050年には発電量の約50~60%を再エネで賄うことを一つの参考値とし、今後議論を深めるとあります。再エネに関しては洋上風力普及に向けたロードマップが提示されており太陽光発電には言及されていないものの、設置コストが低下し地産地消と相性の良い太陽光発電は今後も普及すると考えられます。
持続可能な再生可能エネルギーを今後普及させるためにも、太陽光パネルの廃棄・リサイクル問題の動向には、今後も関心を持つ必要があります。

参考資料

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