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環境省:太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律の下位法令の策定等に係る検討会(第1回)

環境省と経済産業省は「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」の下位法令の策定等に係る検討会の第1回を、2026年10月30日に開催しました。
「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が6月5日に公布され、公布後の1年6か月以内に施行されることになっており、本検討会は同法の下位法令の策定に向けた具体的な審議を目的とされています。

今回の検討会では、太陽光パネルのリサイクル制度の対象となる太陽電池、および多量事業用太陽電池廃棄者の要件に関しての議論が行われました。

(関連トピック:太陽光発電設備リサイクル制度小委員会 第11回)

本検討会の位置付けと下位法令策定に向けたスケジュール

「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律(以下、本法律)」は公布後1年6ヶ月以内、2027年末までに施行が予定されています。
法律の施行に向けての基本方針は合同会議本体で審議が行われるものの、専門的・技術的見地が必要となる事項については別途検討会にて議論が行うこととされており、合同会議の下位検討会として開催されます。

(引用元:環境省)

今回の第1回検討会では、太陽光パネルのリサイクル制度の対象となる太陽電池の種類・構造や重量、多量事業用太陽電池廃棄者の要件に関しての議論が行われました。
今後の検討会では、認定基準・判断基準等が議論されるとされています。

対象となる太陽電池の定義

本制度の基本的な考え方として、廃棄物となった太陽電池の最終処分量の低減やリサイクルによって得られる資源活用の有効性、技術的・経済的なリサイクル可能性等を踏まえた上で、対象となる太陽電池の定義を定めることとされています。

(定義)
第二条 この法律において「太陽電池」とは、太陽光を電気に変換する機器(板状であり、かつ、ガラスを材料として使用した部品を含む機器であって、その重量が政令で定める重量以上のものに限る。)であって、当該機器が廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。次項及び附則第四条において同じ。)となった場合にその再資源化等を実施することが技術的及び経済的に可能であり、かつ、有効なものとして政令で定める種類のものをいい、「事業用太陽電池」とは、太陽電池であって、収益事業において使用されているもの又は使用されていたものをいう。

引用元:e-GOV

対象となる太陽電池は以下の様に定められており、将来の技術進展の状況や市場の動向に応じて、対象を見直すこととされています。
① 板状でガラスを材料として使用した部品を含む機器
② 小型・軽量の太陽電池は最終処分量の低減への効果は限定的なため、対象となる太陽電池の重量の下限を設定
③ 太陽電池廃棄物の再資源化等の実施の技術性・経済性・有効性の観点から、対象となる太陽電池の種類を設定

本検討会では、法で対象となる太陽電池の重量・種類(素材、構造)が提示されています。

太陽電池の重量

対象となる太陽電池の重量の下限の設定に関しては、太陽電池メーカーへの調査結果や市場データがまとめられています。
2011年以降に導入された太陽電池は1枚当たりの重量下限が4.7kg(左図)、2010年以前に導入された太陽電池については、1枚当たりの重量下限は3.7kg(右図)だったとされています。
一般的な太陽電池のほぼ全てを対象範囲に含む水準として、対象となる太陽電池は1枚当たり3.7kg以上が提示されています。

(引用元:環境省)
太陽電池の種類 ~素材と構造~

法の対象となる太陽電池の種類については、再資源化技術の実用化の状況や排出量の見込み(市場シェアや普及動向)などを考慮して検討することとされています。

素材の観点では、現在シリコン系太陽電池が広く普及しており今後の排出も見込まれる上、既にガラスやアルミニウム等の分離・回収が可能であることから、対象に含めるとされています。
化合物系太陽電池について、CIS/CIGS系及びCdTeは一定程度普及しており、 それぞれに対応した再資源化技術及び処理ルートが存在していることから、対象に含めるとされています。

一方で、その他の化合物系太陽電池(GaAs太陽電池など)や有機系太陽電池(※)は、現時点で普及しておらず再資源化技術も未確立のため、対象に含まないとされています。

(※ペロブスカイト太陽電池は有機系太陽電池に該当)

(引用元:環境省)

太陽電池の構造は、一般に片面ガラスが普及していますが、両面ガラスの太陽電池も近年導入比率が増えており、一部では建材一体型も使用されています。処理業者へのヒアリング結果では、一部の処理方式で処理が可能であり、これら両面ガラス・建材一体型は対象に含めるとされています。
一方で、フレキシブルパネル(特殊構造でガラス分離が困難な太陽電池)については、現時点で再資源化技術及び処理ルートが存在していないことから、対象には含めないとされています。

(引用元:環境省)

多量事業用太陽電池廃棄者の要件

本制度では、太陽電池の廃棄をする者をリサイクルの取組の主体と位置付けており、そのうち事業用太陽電池の廃棄をする者について、リサイクルに取り組むべき措置に関して、国が判断基準を定め指導・助言の対象となります。
さらに、効率的なリサイクルが実施可能で多量の事業用太陽電池の廃棄をする者に対しては、多量事業用太陽電池廃棄実施計画の事前届出義務や国による勧告・命令を措置することで、判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取組を義務付けることとされています。

(引用元:環境省)

(多量事業用太陽電池の廃棄の実施に関する計画)
第九条 事業用太陽電池廃棄者であって、その事業用太陽電池の廃棄をしようとする事業用太陽電池の重量が政令で定める要件に該当するもの(以下「多量事業用太陽電池廃棄者」という。)は、当該事業用太陽電池の廃棄をしようとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の主務省令で定める場合を除き、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した当該事業用太陽電池の廃棄の実施に関する計画(以下「多量事業用太陽電池廃棄実施計画」という。)を主務大臣に届け出なければならない。

引用元:e-GOV

「多量」の閾値(基準)に関しては、多量事業用太陽電池廃棄者に対して規制を設けることで、効率的な再資源化の処理体制の構築と社会全体のコスト抑制の観点が必要だとされています。
小規模な事業者への過度の負担を抑えるとともに、処理業者が計画的に多量の太陽電池を処理することで、処理コストの低減を図るためです。

多量事業用太陽電池廃棄者の要件として3つの観点に着目し、それぞれの観点から閾値が検討されています。
①国内で導入済みの太陽電池の発電容量当たりの重量分布
②太陽電池の排出総量に占める多量事業用太陽電池廃棄者の排出量の重量割合
③届出対象者数(多量事業用太陽電池廃棄者数)の見込みと対象設備の規模

1MW以上の発電設備であるメガソーラーを確実に対象にでき、かつ比較的小規模な設備まで対象になる過度な規制を避けることができるとして、多量事業用太陽電池廃棄者の「多量」の閾値を50トンと設定することが示されています。

国内で導入済みの太陽電池の発電容量当たりの重量分布

発電容量が1MW以上のメガソーラーは数10トン規模の太陽電池の排出が見込まれ、費用効率的なリサイクルに向けた取組が期待されることから、多量事業用太陽電池廃棄者の対象として含めることが適当となります。

国内で導入済みの6,267機種の太陽電池について、発電容量当たりの重量分布がまとめられており、1MW当たりの太陽電池の重量が試算されています。閾値を40トンまたは50トンにした場合、全体の99.3%から94.9%を占めることができ、1MWで採用されている太陽電池の大半を対象に含めることができると試算されています。

(引用元:環境省)
太陽電池の排出総量に占める多量事業用太陽電池廃棄者の排出量の重量割合

太陽電池の排出総量のうち、多量事業用太陽電池廃棄者からの排出量の重量割合から、閾値が検討されています。

FIT/FIP認定情報を基に、1kW当たり80kgとして重量換算で排出量を推計した結果、全国の排出総量に占める多量事業用太陽電池廃棄者からの排出量の重量割合は、重量基準が40トン以上、50トン以上、および60トン以上のいずれにおいても、2027~2050年に排出見込みの太陽電池の約4割を占めると推計されています。

(引用元:環境省)
届出対象者数の見込みと対象設備の規模

届出対象者数(多量事業用太陽電池廃棄者数)の見込みと対象設備の規模の関係として、1kW当たり80kgとして重量換算、重量基準を40トン以上・50トン以上・60トン以上の3ケースで、閾値が検討されています。

3ケースでの届出対象者数の最大見込みは、8,368者(40トン以上)~ 6,784者(60トン以上)となるもの、設備容量の分布では50トン以上及び60トン以上では600kW(※)以下の設備が該当しないものの、40トン以上の場合には1,263件が該当します。
40トンを閾値とした場合、より小規模な設備数が増加する傾向にあり、届出対象者数では50トン又は60トンを閾値にするのが合理的とされています。

(引用元:環境省)

※1MW未満の設備容量別の分布において、600kWを下回ると設備数が大きく増加することから、比較的規模の大きい設備とそれより小規模な設備を区分する目安として600kWに着目したとされている。

多量事業用太陽電池廃棄者の分割廃棄の防止についての考え方

太陽電池を廃棄する場合に、分割して廃棄を行うことで届出義務の対象とならない行為が懸念されると過去の検討会でも議論がありました。
一方で、災害や故障により破損した太陽電池の突発的な交換、通常の保守点検に伴って発生する少量の太陽電池の交換なども実際の運用では想定されることから、どのようなケースが分割廃棄には該当しないか明確にする必要があります。

今後、施行通知やガイドライン等において、分割廃棄に関する事項を整理・明確化するとされており、必要な事項が例示されています。

  • 管理主体の対象
  • 「一定期間」の範囲(例:1年を目安とし、それ以上の期間の範囲の取扱い)
  • 「同一の発電所」と認める要件
  • 「一連の廃止又は設備更新として行われるもの」と認める要件

客観的証憑による分割廃棄の確認や排出状況を確認するための電子マニフェスト活用、必要に応じて報告徴収や立入検査で事実関係を確認などの必要性も示されています。

委員から意見・コメント等

法律条文に規定されている内容を詳細に提示しているものもあり、今回示された内容について委員からは大筋で賛意が示されています。
オブザーバーである業界団体を含めて、次のような意見や指摘および事務局の見解が示されています。

対象となる太陽電池、「多量」の閾値に関して

  • 太陽電池の種類ごとで、リサイクルの質が制限にならない様にすべき
  • 破損したパネルがリサイクルの対象となるかなどは、性状や扱いなどはガイドライン・手引き等で示す
  • 住宅設置の太陽電池は基本的に逆潮流(売電)であり、制度による混乱が無いように配慮いただきたい
  • ガラス型ペロブスカイト太陽電池は対象外ではあるが、将来的には対象となることも検討すべき
     ⇒ペロブスカイト型は現在実証段階であり、今後普及が進んだ場合には対象に含めるか検討する
  • 発電容量はAC/DC(AC:発電出力、DC:パネル出力)を明確にすべきでは?
     ⇒閾値の検討は発電出力だが、法律上は重量で扱うことになる
  • 最終処分場の負荷を減らす観点から、閾値は40トン以上でもよいと考える

分割廃棄に関して

  • 分割廃棄を行う場合に捕捉できるか? 発電所内で保管への対応や規制はどう考える?
  • 一体での廃棄の要件、一定範囲内での複数の発電設備を運営しているケースや一定期間の定義などを、ガイドラインで明確にすべき
  • 事業運営において意図的でない分割廃棄が行われた場合に配慮が必要では?
     ⇒過剰規制にならない様に、丁寧な手順を踏むなど運用を検討する
  • 発電設備容量が大きく、分割廃棄せざるを得ない場合もある

法律や制度の運用などに関して

  • 事前届出が必要なのは、設置時ではなく実際の廃棄を行う時点での基準と考えてよいか?
     ⇒廃棄時を起点として法令が適用されるため、将来的に再資源化可能であれば対象が拡大していることも想定
  • 建材一体型の場合、建設リサイクル法との関係はどうなるか、別個の対応が必要ではないか?
     ⇒建リ法との関係は制度詳細の段階で実務が流れる様にする、また処理能力や実態に合わせて検討を行う
  • 制度運用にあたっては、廃棄計画の実態を把握し適切な見直しが行われることを望む
  • 発電所単位で太陽電池パネルの「保有量」を明確にしてはどうか
  • マニフェストに「太陽光パネル」と記載してはどうか
     ⇒一律の記載は事業者の負担が大きいと考えるが、電子マニフェストであればある程度可能だと考えている
  • マニフェストでは捕捉できないリユースの扱いはどうするのか?

処理コスト低減に関して

  • 多量事業用太陽電池廃棄者から想定される排出量により、処理コストの低減が実現できるか確認すべき
  • 廃棄の1か月前では処理業者側での事業計画は難しいため、半年前や1年前などの事前の計画が必要である
  • 埋立処分「2,000円/kW」とリサイクル「8,000~10,000円/kW」の乖離は大きく、量が増えるだけで生産性・効率性の向上は難しい
  • スケールアップでのコスト低減を前提にしているが、どのように排出されるかを検討する必要もある

まとめ

2026年6月に公布された「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」は2027年末までに施行が予定されており、本検討会ではリサイクルの対象となる太陽電池や「多量」の基準について具体的な内容が示されました。

対象となる太陽電池は「1枚当たり3.7kg以上」、多量事業用太陽電池廃棄者の「多量の閾値50トン」が提示されましたが、実際の廃棄で想定される「分割廃棄」への対応や、多量の排出による処理コスト低減が実現するのかなど、重要な懸念・課題も指摘されています。

本検討会では、引き続き処理基準や判断基準などについて審議が行われる予定であり、今後の議論の進展を注視していく必要があります。

参考資料