太陽光パネルのリサイクル事業者や行政動向、最新情報を掲載

環境省:太陽光発電設備リサイクル制度小委員会(第11回)

環境省「中央環境審議会 循環型社会部会 太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」と経済産業省「産業構造審議会 イノベーション・環境分科会 資源循環経済小委員会 太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ」合同会議の第11回が、2026年10月6日に開催されました。

「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が2026年5月29日成立、6月5日に公布され、公布後の1年6か月以内に施行されることになっています。法律の施行に必要となる具体的な基準や措置内容は政省令などで定められることになっており、本合同会議ではその施行に向けた詳細のルール作りに関する議論が行われます。

今回の合同会議では、今後の審議の進め方や基本方針の策定に関しての議論が行われました。

(関連トピック①、関連トピック②)

下位法令の検討体制と施行に向けたスケジュール

「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律(以下、本法律)」は公布後1年6ヶ月以内、2027年末までに施行が予定されています。

年内に議論をとりまとめ、パブコメを経て春頃までには政省令や告示が公布される予定となっています。
また、2027年末ごろの施行に先立ち、2027年春ごろに再資源化等事業計画認定に関する事前申請が開始される予定となっています。

(引用元:環境省)

基本方針は合同会議本体で審議が行われる一方で、専門的・技術的見地が必要となる事項については、別途検討会にて議論を行うと説明されています。

(引用元:環境省)

基本方針の骨子案

本法律では基本方針で掲げるべき事項が定められており、各事項の素案が提示されています。

(引用元:環境省、e-GOV)
意義及び目標に関する事項

「一 太陽電池の廃棄の抑制及び太陽電池廃棄物の再資源化等の推進の意義及び目標に関する事項」として、再資源化等の推進の意義が2点挙げられています。

  • 廃棄抑制及び再資源化等の推進により、最終処分場の残余容量確保と環境負荷の低減
  • 費用効率的な再資源化等の実施により、ガラス及び金属資源の効率的回収、有効利用の促進

また、将来の排出量推計に関して実態との乖離や精緻化の必要性が過去に指摘されていました。
今回の説明において、最新の故障率のデータや過去の実態調査でのリユース率を反映し、「精緻化した推計」による排出量予測が説明されています。

(引用元:環境省)

その結果、現在から2030年代にかけての排出量想定が従来より少なくなった一方で、ピーク後にも一定量の排出が継続する見通しが示されています。
新たな推計でも排出量は2030年代後半から増加し最大で年間50万トン程度まで達する見込みとされており、実績の故障率に幅があることから従来推計より幅のある結果だと説明されています。

また、再資源化等の推進の目標として5つの目標が示されており、排出実態などの実績値を踏まえて目標年度や目標値の設定を行うとされています。

(引用元:環境省)
基本的事項(基本理念と関係者の役割)

「二 太陽電池の廃棄の抑制及び太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する基本的な事項」では、基本理念として長期使用や適正な再使用により排出量の平準化および抑制、排出されるものは再資源化を行うことが示されており、太陽光パネルのライフサイクルの各段階における関係者の役割が提示されています。

(引用元:環境省)

今回、関係者として「再資源化物利用事業者」が盛り込まれており、資源循環を実現において再資源化物の利用するユーザーの重要性の表れとなっています。

方策の実施に関する事項

「三 太陽電池の廃棄の抑制及び太陽電池廃棄物の再資源化等の推進のための方策の実施に関する事項」として4項目が法律で規定されており、それぞれの方策が示されています。

(イ)廃棄抑制のための方策

  • 太陽電池の長期使用の実施に向けた適切な維持管理の促進
  • 太陽電池の適正な再使用の実施に向けた環境整備(例:リユースガイドラインの周知・改訂)


(ロ)再資源化等の選択を促進するための方策

  • 再資源化等の選択に向けたインセンティブ設計の構築
  • 認定事業者に関する情報提供の実施

(ハ)廃棄抑制、再資源化等の実施に資する太陽電池の製造販売を促進するための方策

  • 製造業者等による取組の推進(例:環境配慮設計された製品の製造・輸入、有害物質を含む製品の情報提供)
  • 販売業者による取組の推進(例:適切な製品表示及び情報提供)

(二)再資源化物の利用を促進するための方策

  • 再資源化ガラス等の利用促進する国及び事業者の取組(例:実証事業、研究開発)
  • 利用の意義を普及啓発するための取組(例: 環境教育、広報活動)

これまでの議論において、論点に上がっていなかったガラス等の再資源化物の利用促進に向けて、国・事業者の取り組みや市民理解の啓発に向けた内容が盛り込まれています。

実施体制の整備促進に関する事項

「四 再資源化等のための太陽電池廃棄物の収集、運搬又は処分の事業及びその実施体制の整備を促進するための方策の実施に関する事項」として、以下の3点が示されています。

  • 効率的な収集運搬のスキームの構築
  • 高度な再資源化設備の導入
  • 再資源化費用の低減に向けた技術開発
その他、廃棄抑制・再資源化等の推進に関する重要事項

「五 その他、太陽電池の廃棄の抑制及び太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する重要事項」として、電子マニフェストも活用した情報収集等の実施、バーゼル法などの関係法令の遵守徹底、不適切な分割廃棄対策や解体事業者等への周知徹底などが挙げられています。

委員から意見・コメント等

過去の合同会議で議論された内容に基づき本法律が成立・公布されており、今回提示された基本方針について委員からは大筋で賛意が示されています。
その上で、今後の詳細検討に向けて、次のような意見や指摘がされています。

  • 基本方針では「リサイクル」が中心となっているが、長期使用・再使用の優先、資源循環利用促進などを明示すべき。
  • 現在実施されている施策(補助や実証事業)が、全体につながる視点が必要。
  • 本法律と再資源化事業等高度化法の違い、双方の制度の位置付けはどうなるのか?
  • 目標が「2040年代(資料3)」に見込まれる排出ピークへの対応だけでなく、2030年代後半や足元の対応とのバランスを考えるべき。
  • 目標の進捗(中間目標やKPIなど)をモニタリングできる仕組みを考えるべき、目標の見直しのトリガーやタイミングはどう考えるのか?
  • 「最大限の再資源化(資料3)」は、再資源化費用や処理体制構築を前提とするのではなく、同時並行的に推進すべき。
  • 排出量推計についての輸出量やリパワリングでの早期交換などの実態の反映が必要。
  • 住宅用太陽光パネルに関しては、排出量だけではなく「件数」も考慮した議論が必要。
  • 上流から下流に至るまで、関係者間で「責任の空白」が生じないように制度を構築する必要がある。
  • 都道府県単位ではなく、地域の実状に応じて広域ネットワークも含めた効率的な収集運搬・処理体制を検討すべき。
  • 本法律の関係法令(発電事業)との接続や、自治体との連携についても検討すべき。
  • 再資源化ルートから外れた埋立処分の情報管理や、リユースパネルのトレーサビリティを確保する仕組みを検討すべき。
  • 再資源化物の需要拡大に向けて、利用者(ユーザー)視点やインセンティブを考慮すべき。
  • 「有害物質」への言及がなく、解体・処理における作業員への安全衛生面に関する内容を盛り込むべき。
  • リユースパネルの海外流出防止を検討すべき。
  • 製造輸入業者に対して、環境配慮設計の取組みを後押しや働きかけは?
  • 廃棄実施計画に不備や勧告・命令に従わない場合の対応、不適正事案への処置や罰則は?
  • 住宅用太陽光パネルは当面除外だが、将来的に対象とする考えか?
  • 対象となる太陽電池において「再資源化等の実施が経済的に可能(資料1)」とあるが、その理由や意味合いは?
  • 「費用効率的(資料3)」という表現では、単純にコストだけで埋立処分が選択されかねない、趣旨や意味を明確にする必要がある。
  • ペロブスカイト太陽電池など、将来の技術開発動向を踏まえた検討や方向性を提示すべき。

まとめ

2026年6月に公布された「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」は2027年末までに施行が予定されており、施行に向けた審議が開始されました。今回の合同会議では基本方針の骨子が提示され、今後の検討会において判断基準や認定要件などの詳細が議論されていくことになります。

本法律の施行により、太陽光パネルの廃棄を行う発電事業者や再資源化を行う中間処理事業者だけでなく、自治体や解体業者・収集運搬業者、再資源化物を利用する事業者など、多くの関係者が役割・責任を担うことになります。

太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルの実現には事業者を含めた社会全体の理解が必要であり、引き続き今後の議論の進展を注視していく必要があります。

参考資料