環境省は、令和7年度の委託事業として実施された『令和7年度太陽光パネルリサイクルシステムの構築に係る調査研究等委託業務報告書』を公開しています。
本調査業務は、2030年代半ば以降に見込まれる使用済太陽光パネルの大量排出を見据え、『太陽光パネルリサイクル情報管理システム』と『太陽光パネルリサイクルポータルサイト』のシステム構築に向け、システム全体像や既存の類似システムの整理、今後の開発スケジュール、要件定義に関する論点などが整理されています。
本報告書では、システムの概要や開発・運用のロードマップ、想定されるデータの活用・分析などが、図表を交えてまとめられています。
本トピックでは、報告書から読み解くことのできる、これらシステムの概要を紹介します。
FIT制度以降に大量導入が進んだ太陽光パネルが2030年半ば以降に排出ピークを迎えると想定される中、太陽光パネルのリサイクルを推進する法律が可決・成立し、適正廃棄・リサイクルに向けて制度構築が進められています。
本報告書は、太陽光パネルのリサイクルに向けた環境省/経産省の合同会議第10回(関連トピック) の内容に基づき、情報管理システム及びポータルサイトに関する検討内容が取りまとめられています(※本調査業務は、リサイクル推進法案が国会で可決・成立する以前に実施)。
太陽光パネルのリサイクル推進のため、処理に係る費用・情報を管理するシステムを構築するための調査・研究が、以下の基本方針で実施されています。

太陽光パネルのリサイクルを推進するために必要な仕組みとして、本報告書では二つのシステムが提案されています。
一つ目は、リサイクル計画・実績を管理する情報管理システム『太陽光パネルリサイクル情報管理システム』であり、排出実施計画の届出情報やFIT認定情報などと連携し、排出見込みの調査、リサイクル目標設定や達成状況、リサイクル事業の認定や定期報告に関する情報を一元化するものとなっています。
一方、制度周知を目的としたポータルサイト『太陽光パネルリサイクルポータルサイト』では、リサイクル事業の予見性に資する情報や各種分析、リサイクルへの理解を促進する情報の提供などを行うとされています。
本報告書では、太陽光パネルの廃棄・リサイクルデータを一元化し、市場形成やマッチング、リサイクルの高度化を目指す構想が示されています。2つのシステム構成が提案されており、それぞれ太陽光パネルの『適正処理の担保』と『リサイクルの促進』を担うとされています。

『太陽光パネルリサイクル情報管理システム』では、太陽光パネルの適正処理を担保するために必要な情報を集約するため、廃棄処理に関する申請や届出、処理状況の入力、外部システムとの連携を行い、以下の情報がキーワードとなっています。
これらの情報を集約することで、届出審査や未届事業者捕捉、処分方法乖離捕捉など、排出実施計画・審査に関する業務を一元化するものと想定されます。
『太陽光パネルリサイクルポータルサイト』では、リサイクルの促進や社会的な理解の醸成を目指して、事業予見性に資する情報やリサイクルへの理解を促進する情報の提供を行うとされています。
将来的には、リサイクル設備の導入シミュレーションや環境価値の可視化、地域別・時系列での各種分析をの公開が想定されています。
システムの初期リリースでは、データの収集・整理・可視化などの基本的な機能を対象に開発し、廃棄状況や地域差の分析、将来予測や広域連携などの高度分析機能は順次実装していくロードマップが掲げられています。

システム全体の開発・導入スケジュールも記載されており、管理システム・ポータルサイトともに2027年度のリリースが計画されています。

2026年度はシステムの要件定義書の作成が予定されており、環境省により事業実施者の入札公告が行われています(関連トピック)。
2030年半ば以降に想定される太陽光パネル大量廃棄に対応すべく、2026年5月に『太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律』が可決・成立し、制度の実施に向けて適正廃棄・リサイクルの環境整備が今後進められます。
本法律(概要資料)には、具体的なシステム名称や構築に関する内容は確認できませんが、条文で国による情報の収集・整理・活用が責務として定められています。また、過去に開催された合同会議(とりまとめ)では、太陽光パネルの製造・販売から再資源化まで、ライフサイクルの各段階における情報管理の必要性が指摘されていました。
法律の施行に向けて制度の詳細設計が進むものと思われますが、これらのシステムは実務に直結する内容であり、今後の開発・導入状況に注目する必要があります。