経済産業省は、2022年12月5日に『第5回 再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ』を開催しまし、中間とりまとめ(案)を公表しています。
なお、中間とりまとめ(案)に対しての意見募集が2023年1月10日まで実施されています。
再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ(WG)では、地域と長期に共生する再エネ導入を加速するために、事業規律の強化に向けた制度的措置の具体化と、既設再エネの最大限の活用策について検討が行われています。
これまでに4回のWGが開催されており(関連トピック①、関連トピック②)、中間とりまとめ(案)でまとめられている再エネ設備における土地開発後から廃棄までにおける各段階と横断的事項に関して議論されました。
土地開発段階では、FIT/FIP認定の手続厳格化として関係法令の許認可取得(森林法における林地開発許可、宅地造成等規制法(盛土規制法) における許可、 砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)における許可など)や、環境影響評価手続きと開発行為着手時期などに対して、厳格にするとあります。
運転中の違反状態の未然防止・早期解消のため、認定計画に違反した場合にFIT交付金を留保する措置が設けられることになります。
地域とのコミュニケーション要件化として、FIT/FIP 制度では一定規模以上の発電設備の場合に説明会開催を含む周辺地域への事前周知を認定申請要件として求め、事前周知がない場合はFIT/FIP認定を認めないとされています。
発電所の規模や設置場所・形態などにより柔軟な手続きが必要だと指摘されているものの、説明会実施などの努力義務を求めることが望ましいとされています。
事業譲渡の手続き強化や認定事業者の責任明確化、関係法令遵守など、国民負担の抑制と地域共生を図る趣旨からも、事業者としての適性や規律が求められることになります。
適正廃棄に関わる事項として、『出力更新・増強時の廃棄等費用の取扱い』や『大量廃棄に向けた計画的対応』が、中間とりまとめ(案)で検討課題としてあげられています。(関連トピック)
2030年代後半に想定される太陽光パネル廃棄のピークへの計画的な対応が必要であり、太陽光パネルの含有物質等の情報を正確に把握するためのデータベース構築や、リサイクルの制度的支援や義務的リサイクル制度の活用など、引き続き検討すべきと指摘されています。
2050年カーボンニュートラル実現および再生可能エネルギーの2030年度目標36~38%の達成に向けて、再エネ普及に向けて最大限の導入が必要なものの、国民負担の抑制や地域共生も不可欠です。
一方で、太陽光発電導入では多様な事業者の新規参入する中で、安全面・防災面、景観や環境への影響、将来の廃棄等に対する地域の懸念も高まっています。
再エネの持続的発展・普及のためにも発電事業者の規律強化の取組みが必要であり、今回WGで取りまとめられた方向性で制度化が進むと思われます。
資源循環経済という観点においても、太陽光パネルの適正廃棄・リサイクルを促進するための制度構築や計画的な対応が求められます。
今回WGで提示された中間とりまとめ案は、発電事業者始め太陽光発電事業に関わる全ての事業者に関係するため、興味・関心のある方はパブリックコメントへの提案をお勧めします。