東京都では、今後大量廃棄が見込まれる使用済太陽光発電設備の3R及び適正処理を推進するため「東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会」が設置しています。
2025年9月11日に第9回の協議会が開催されており、資料が公開されています(議事録は2025年9月21日時点で未公開)。
公開されている資料を元に、協議会の概要を紹介します。
(前回までの協議会に関してはこちらから ⇒ 第1回、第2回、第3回、第4回、第5回、第6回、第7回、第8回)
第9回の協議会では、太陽光パネルの処理状況の2024年度調査結果、都が指定する中間処理施設の追加公募、および太陽光パネルのリサイクルに関する補助事業などに関する報告が行われています。
太陽光パネル処理の調査報告
・首都圏リサイクル施設の受入れ実態
・都内中間処理業者の受入れ実態リサイクル施設の追加公募の報告
情報提供
引用元:東京都
・ソーラーウイーク2025の案内(JPEA )
・各種補助事業の紹介
首都圏の産業廃棄物中間処理業者10社を対象に、太陽光パネル処理状況のアンケート調査が実施されており、5施設で処理量が増加したと報告されています。
しかしながらアンケート対象各社の処理枚数合計では、2022年度の約41,000枚(※)から2023年度は約33,700枚に減少しています。
前年度までの調査結果と同様に、各社ともに年間で数千枚の処理量に留まっており、処理施設の稼働率が現状では低いままとなっていることが示唆されます。
(※処理量が重量で記載されているものは、太陽光パネル1枚あたり20kgで換算)
また前年度と同様に、新たなリサイクル施設の設置ニーズに関するアンケートでは、設置意向のある事業者は8社から14社へ増加しています。
都内への設置を希望する事業者も多いものの、財政上の支援を希望する声も上がっている模様です。
東京都では、使用済住宅用太陽光パネルのリサイクル促進に向けて費用の一部補助を実施しており、適正にリサイクルできる施設を都が認定しています。
2025年7月に新たに事業者が追加され(関連トピック)、現在は首都圏周辺の9社が認定されています。
本補助制度の申請件数も報告されており、2025年7月時点で13件の実績があったと報告されています。
2023年の8件、2024年の6件に比べて増えてはいるものの、制度利用に周知・拡大は引き続き課題だと考えられます。
その他にも情報提供として、2025年11月に開催される『ソーラーウィーク2025』にて太陽光パネルの適正処理・リサイクルに関する講演・パネルディスカッションの予定が紹介されています。
また、東京都が実施する補助制度である『高度再資源化設備導入促進事業』、『使用済太陽光発電設備積替え保管施設整備促進事業』の紹介もされています(関連トピック)。
2050年ゼロエミッション東京の実現に向け、都では新築住宅への太陽光発電設置義務化や導入支援など各種施策が進められており、太陽光パネルの適正な廃棄・リサイクルに向けた取組みも進展しています。
一方、財政規模が大きく強いリーダーシップを発揮できる東京都だからこそ可能な取組みでもあり、必ずしも他自治体が同様の施策に取り組むことは容易ではなく、今後、地域間で格差が顕在化することも想定されます。
さらに、太陽光発電設備による環境や景観への影響が懸念される中で、再エネによる裨益を享受する都市と、実際に適正処理を行う地方との関係や役割について、今後議論を深める必要があります。